VOICE

余白

2021年11月7日

10/3名古屋から始まったROMEN Pandemic Tourは約2週間で12公演というめちゃくちゃ過酷なライブツアーとなった。
2台の車に機材をギチギチに詰め込み陸路をひたすら会場から会場へと走り、会場に着くと休む間も無く機材搬入、あまりの機材の多さに目が回る。
そしてセッティング、ライブ、ばらし、搬出、それを基本的には3人でやる。
勿論、会場のスタッフも手伝ってくれたりして大変助かったのだが手筈が分かっているのはメンバーの3人なのでどうしても無理をしてしまう。
会場によってはライブ後にグッズの販売までやった。
それを12回繰り返すと60歳間近の身体にはかなり堪える。
そして肝心のライブといえばピーンと張り詰めた緊張感の中、一切気の抜けない演奏。
ここまでハードコアなツアーをやってるのは俺たちしかいないんじゃないかと思う。
旅を楽しむなんて余裕はこれっぽっちも無く、唯一食事だけが楽しみだったが前半戦はまだ緊急事態宣言が解除されたばかりでライブ後に食事ができる店もなくコンビニやテイクアウトで我慢するしかなかった。

時期的な事もあるかもしれないがどの会場も客入りは良くなかったが、そんなことは気にもせず全身全霊でその日のベストを尽くしたおかげで観に来た人たちの心を掴んだと実感できたことは最大の収穫だったと思う。
こんな俺たちを気の毒に思ったのか自分の利益も得ず自ら施し(施しという表現が失礼に当たらなければ良いが)を与えてくれる優しい人もいたりで、何はともあれ様々な人たちがそれぞれの気持ちを込めて俺たちを後押ししてくれたおかげで無事このツアーを乗り切ることができたことに只々感謝しかない。
そしてそれぞれの記憶に残る瞬間をそれぞれの胸に刻むことができたことこそこのツアーの成功を意味する。

この過酷なライブツアーから得たものはこれからの自分に必ず活きてくる。
個人的にはこの旅を始める前から思い悩んでいた様々なモヤモヤからスッキリ抜け出すことができ、ここ数年見えなかった希望を見つけられたような気がする。
旅をしていると出会う街や場所や人を通して自分が置かれている立ち位置やその周りがよく見えてくる。
そして視野は広まりこの国の姿形、表情までもが見えてくる。
そこにまだ自分の場所はあるのか?と問うてみる。

この旅でその余白を見つけた。