今年の2月28日、俺の誕生日に1通のメールが届いた。
内容は”心を揺さぶる作品を共に生み出したい。
特筆すべき経歴はありません。あるのは強い覚悟だけです。”
という強い言葉に込められたメッセージに添えて6編の詩が添付されていた。
何だか嬉しかった。
ここまで言い切れる強い意志を投げかけられたのは初めてだった。
すぐに詩を読んでみた。
一つ一つの言葉の強さとその文章が意味する情景に怖くなるほどドスが効いている。
内容はともかく言葉への感情移入の度合いが半端じゃないと感じた。
まるでその場面を目の前にしているような感覚に陥る。
言葉なのに湿度や匂いを感じられるような生々しさ。
この人はどんなふうに生きてきたのか?と知りたくなったが知ってしまったら感じ方が変わってしまう
恐れもあるので何も知らない方がいい。
関心があるのは彼女の言葉が綴る物語と音楽で何ができるかという可能性についてだけだ。
それからメールでの交流が始まった。
お互いのアイディアや近況を話し合いながら創作のきっかけとなるキーワードを探した。
そしてソロアルバム「PISCES」の完成を間近にして音源を彼女に聴いてもらい
感じたままに何か書いてもらおうというアイディアを思いつき早速その趣旨と共に音源を送った。
彼女も初めての試みではあるものの快く受け入れてくれ、その後「深海に射す」というエッセイが
送られてきた。
俺にとって音が自己表現の唯一の手段であるように彼女にとって言葉は生きる証だ。
日常の些細な事柄からも感じ取り言葉で綴る。
これからも言葉と音の可能性を見つめ続けたい。
照井