VOICE

ロックという時代の終わりと別れ

2023年12月25日

2023年、今年もあっという間に終わってしまう。
歳を重ねるごとに時の流れに追い立てられてるようだ。
365日、何か有益なものを残せただろうか?
1日1日を精一杯生きた覚えはない。
もうすぐ60歳にもなろうとしてる俺は未だ自分の殻を抜け出せないでもがいてる。

 

年の始まりは個展。
2月、描き溜めた絵を画集にし発表、それに合わせ個展を開催。
自分が描いた原画を初めて売った。
何とも言えない落ち着きのない心持ち。
東京滞在中に幾つかのライブで演奏する。
実験的に行なったアンビエントと即興演奏に可能性を感じる。
香川でも同様に個展を開催。

 

4月、尾道にて友人の画家白水麻也子と共演。

 

5月、京都にて鉄のアーティスト谷口和正と共演するはずが、公演間近に突然の急逝。
遺族の協力のもと残された作品と共演を果たす。

 

6月、アンビエントチームとレコーディング&ライブ
演るに連れて新鮮味を失っていくようにフェイドアウト。

 

7月、香川にてソロアルバム制作に没頭。

 

8月、香川にて中村達也と共演。
過去をなぞるようなライブ。

 

10月、ソロ6thアルバム「In Side Man」発表。
香川、岡山、名古屋にて年内のライブ終了とする。

 

これが、表立った俺の1年の活動。
こうやって振り返ってみても、消極的で覇気のない自分に腹がたつ。
何を今更、躊躇しているのか?
まだまだ、導火線に火がつけば爆発できる筈なのに。
いつになったらこの命を灰にできるほど狂い咲けるのか。

 

そんな気分の時に限って極めつけの悲しい訃報。
昔、音楽を共にした友が逝った。
いい奴ほど、先に逝きやがる。
長い間、病で倒れた後も会えずに、ただ最後に1通のメールだけ。
「新作できたら聴かせてよ」
いくつもの後悔。
どうして昔あの時、何もかも捨てでもアイツと命ごと向き合い音楽をやらなかったのだろう。
俺が守ろうとしたものは今じゃあ何ひとつ残っていないというのに。

友よ、さよなら。
今度、会った時には迷うことなくお前の歌に合わせてベースを弾くよ。
ありがとう。

 

今年は次から次へと影響力のある多くのアーティストが亡くなった。
まるでロックという時代が終わるかのように。
そして、これからはジャンルという境界のない世界が始まる気がする。
未だ生かされている自分に何ができるかはわからないが、
まだまだ全然やり足りないよ。

照井利幸